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河合信和著 『ヒトの進化 700万年史』 [人類学]

河合信和著 『ヒトの進化 700万年史』、ちくま新書、2010.12.10発行

著者は、この本の中で、ヒトの進化の解明について「これまで現れては消えた人類全体を300片ほどのジグソーパズルに喩えると、我々は未だそのうちの30片ほどのピースしか手に入れていない」と語っている。つまり、人類の進化史は未だ確定するに至っていず、今後の発見によっては幾らでも変わる可能性がある。そんな状況での、最近の考古学的成果の紹介である。

Wikipediaに書かれた分類によれば、この本で使われている「ホミニン」という分類は「ヒト亜科」Homininaeに相当する。ホミニン(ヒト亜科)を特徴付けるのは「直立二足歩行」である。
ヒト科
 + チンパンジー亜科
 |   ギガントピテクス(絶滅)、
 |   ゴリラ属、
 |   チンパンジー属(チンパンジー、ボノボ)
 + ヒト亜科:ホモ・サピエンス以外は全て絶滅
     + オロリン属
     + アルディピテクス属(ラミダス)
     + サヘラントロプス属
     + アウストラロピテクス属(アファレンシス、アフリカヌス、ガルヒ)
     + パラントロプス属(ロブストゥス、エチオピクス、ボイセイ)
         『頑丈型』といわれる。
     + ヒト属(Homo)
         ホモ・ルドルフェンシス
         ホモ・ハビリス
         ホモ・エルガステル(アフリカ型ホモ・エレクトス)
         ホモ・エレクトス
         ホモ・アンテセソール
         ホモ・ハイデルベルゲンシス
         ホモ・ネアンデルターレンシス
         ホモ・サピエンス

【内容】
はじめに
第1章 ラミダスと最古の三種(700万~440万年前)
分子進化時計によれば、ヒトとチンパンジーとの分岐は約500万年前とされた。 しかし、サヘラントロプス・チャディシス(「トゥーマイ」と呼ばれる)は700万年前とされ、分子時計による常識は覆された。 サヘラントロプスの生息環境は(サバンナではなく)水辺が近くにある疎林と推定された。

第2章 アファール猿人(390万~290万年前)
第3章 東アフリカの展開(420万~150万年前)
第4章 南アフリカでの進化(360万?~100万年前)
以前には、アウストラロピテクスには「華奢型」(アフリカヌス)と「頑丈型」(ロブストゥス)があるとされていた。現在では「頑丈型」はパラントロプスという名になった。年代的に「華奢型」より新しく、ホモ・エレクトスと並存していたとされる。 アウストラロピテクスやパラントロプスの時代には、ヒトは「狩猟者ではなく、狩られる側だった」

第5章 ホモ属の登場と出アフリカ(260万~20万年前)
出アフリカは2回ではなく、もっと古くから何派もあった可能性が出てきた。

第6章 現生人類出現とネアンデルタールの絶滅(40万~2.8万年前)
ホモ・サピエンス的な技術革新はアフリカで時間差をおいて徐々に発展したのであり、「神経学説」(リチャード・クライン他『5万年前に人類に何が起きたか?』)のような「革命」はなかった。

ネアンデルタール人に対する評価は「知能の劣った野蛮人」→「死者を弔い、ホモ・サピエンスと変わらない(一時ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスと分類された)」→「ホモ・サピエンスとの分岐は数十万年前に遡り、遺伝的交流はなかった」と変遷した。そして最近、中東でわずかながらユーラシアに進出したホモ・サピエンスと交流し遺伝子を伝えたとされるようになった。

第7章 最近まで生き残っていた二種の人類(100万?~1.7万年前)
フローレス島で発見されたホモ・フローレシエンシス(1.7万年前)、シベリアで発見されたデニーソヴァ人(4万年前)など、最近まで生存していたホモ・サピエンス以外の人類。

おわりに

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