高橋洋一 著 「「年金問題」は嘘ばかり」 [読書感想]

年金問題」は嘘ばかり ダマされて損をしないための必須知識 高橋洋一 著 PHP親書 2017.03.29 初版発行


【構成】
プロローグ 「年金が危ない」と強調して「得をする」のは誰だ?
第1章 これだけで年金がほぼ分かる「三つのポイント」
第2章 「日本の年金制度がつぶれない」これだけの理由
第3章 年金に「消費税」は必要ない
第4章 欠陥品「厚生年金基金」がつぐれたのは当然だった
第5章 利権の温床 GPIF は不必要かつ大間違い
第6章 「歳入庁」をつくれば多くの問題が一挙に解決する
第7章 年金商品の選び方は、「税金」と「手数料」がポイント


【考察】
著者の主張について:

●公的年金は賦課制・マクロ経済スライドをしているので、公的年金が破綻することは無い

著者の言う通り、賦課制で現役からの徴収額を引退世代に分配するのだから、その意味では破綻はしないかもしれない。しかしこれは、「所得代替率4割(あるいは5割)」が確保でき「年金で生活できる」ことを意味しない。
著者は、必要なことは経済成長だと言っているが、それが出来ていたら誰も心配はしない。2017年の時点で、未だ安倍政権に期待をしている(p.98-99)とはどういうことか?
少子高齢化時に必要なことは、D. アトキンソン氏が言うように、経済成長つまりGDPを拡大することよりも、「生産性を上げる」こと。つまり、少ない労働力で現在と変わらない付加価値を生産し、それを引退世代にも(所得代替率4割ないし5割で)分配する税制上の仕組みにすることだ。

●GPIF は不必要かつ大間違い
賦課制のはずの公的年金でなぜ百何十兆もの「積立金」があるのか不思議でならなかったが、少しは分かった。これは言うなれば、「引退世代」から「将来世代」への移転だ。この積立金の最大の問題は、「どのように運用するのか」ではなく「どのように使うのか」が決まっていないことにある。
著者の言う通り、GPIF は廃止すべきだが、株式を止めて国債にしろというのは:
「積立金はリスクヘッジののために株式運用必要」(p.151)という著者の主張と矛盾する。
GPIF の持ち株を短期間に大量に売りに出したら、株式市場はどうなるか?株式は「買うは良いよい売るのは怖い」
国債で運用するにも、日銀が国債を放出しないとならない。そうしたら、安倍・黒田金融緩和と逆行してしまう。出来るか?「物価連動国債」「変動利付国債」など発行されるか?「変動利付国債」が発行されても黒田日銀の「ゼロ金利政策」が続く限り意味がない。

● 歳入庁
歳入庁を設けるのには賛成。財務省が「内閣府歳入庁」に反対するなら、「財務省歳入庁」にすれば良いのではないか?内閣府は「省庁間の調整役」であって「実務機関」を持つべきではない。



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